AIによるマスタリングサービスのLANDR。
僕の個人的な使い方を書いておこうと思います。
そもそもLANDRとはビッグデータやら人工知能やらによって学習したシステムが、アップロードした楽曲をマスタリンスしてくれるというサービスです。
実は2年くらい前(記録を見たら2015年3月)に知って、そのときに登録していたのですが、何度か使ってみたもののイマイチぱっとしなくて、そのままほおっておきました。
だが時は経ち、
今では結構なミュージシャンが信頼するサービスになっています。
最近僕も何度も試してます。音楽の種類によって向き不向きもあるかとは思いますが、ビートものなんかはびっくりするくら良くなりがちです。
おそらく、中のシステムがアップデートされて良くなってきたのだろうと思います。これって今後もっと良くなっていくってことですよね。
僕の個人的な使い方ですが、今のところ有料のプランには入っていません。
無料だとローレゾナンスのmp3なら毎月4曲までマスタリングできるのですが、それを利用しています。
さらに実際にマスタリングに使っているわけではないんです。
曲ができて、ミックスも8割方終わったな。っていうタイミングでLANDRに上げます。
ちょっと待つと返ってくるので音圧いっぱいまで上げたバージョンをダウンロードします。
作品の使われ方にもよりますが、最も上げたバージョンでも音圧はもう少し欲しいなというところです。
(他の作品と並べて聴かれるストックミュージックなんかだと皆さんガンガンに突っ込んできますので。)
僕はこのデータをリファレンスポイントにするようにしています。
言うなれば
僕の横に別のエンジニアが一人いて、その人と話し合ってる感じ。
例えばキックがベースに埋もれていたりする状態で、長時間作業を続けていると、ベースとキックどっちが前に来てるかすらわからなくなってたり、ギターのミッドローをキリすぎてカラッカラになってたり、要するに客観性が失われた状態になってることが多いんですけど、
LANDRから上がって来たデータを聴くとそういった、
見えなくなっていたミスに気づくことが多いです。
あー、キックこんなに前に出してる!とか。
出過ぎてた中低域を思いっきり引いてあったり、
ハイをもっと出してきたり、
LANDRが「俺だったらこうするよ」って言うのを聴いて、それを元にミックスを見直すようにしています。
自分以外の第3の視点として働いてもらう感じです。
その後、さらにミックスをしながら(以前にも書きましが、自分でマスタリングまですることがほとんどなのでミックスの終盤で音圧は必要なところまで上がってます。)まとめていくのですが、
最終的にLANDRより良く聴こえるか?っていうところを基準にしていたりもします。
音圧ぎりぎりで詰めていくEDMなんかだと、なかなかLANDRより良くなりません。(最終的になっていないまま終わることも)
なので自分のマスタリング技術を上げるための先生だと捉えることもできます。
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しかし書いてて思いましたが、
おそらくこの方向の技術はどんどん進んで行ってマスタリングは(あるいはミキシングも)AIやビッグデータがやるのが普通になるんだろうなっていう感じはします。本当にあと何年とかで。
でも人間のすごいところは、一度良いとされたものにやがて飽きて、違う組み合わせを作り出して行くことだから、まだAIが学習していないミックスのバランスやマスタリング処理を人間は作って、それをまたAIが真似をしてっていう追いかけあいになるのかなと思いますね。
だとしたら、それこそ人間の音楽家に求められるのは新しいバランスやアイデアを提案することになってくるだろうから、必要とされる音楽家の種類は変わってくるのかもしれませんね。
LANDRですが、ハイレゾmp3、WAV、HD WAVとありますが、先に書いたように僕は今のところローレゾナンスのmp3の分しか試していません。
そもそもバランスやアルゴリズムが変わるのか、同じ処理をした上で仕上げのデーター形式が良くなる分のクオリティーの差なのかが目下気になるところですので、試したらまたレポートしようと思います。