わりと有名なのかもしれませんが、ドラムの音処理で役に立つテクニックを書きます。
その名もニューヨークコンプレッション。
ニューヨークのエンジニアがやってて、もともとはモータウン?あたりでやり始めた方法てっだれか言ってた。(すいません、不正確情報です。)
簡単に言うと原音とコンプをかけた音を混ぜるというもの。
パラレルコンプレションとも言われます。
ドラムを前に出したいとき
ドラムの輪郭がもやっとしているのでコンプをかけて引き締めた。
しかしドラムだけならすといい感じなんだけど、トラックに混ぜてもあんまり前に出てこない。
他の楽器の後ろにかくれてて、欲しいところまでレベルを上げると大きすぎるし。。
そんな時に使うテクニックです。(そんなときだけじゃないですが)
一番オーソドックスでかつすぐに使える方法を書いてみます。
1.ドラムトラック(バス)からセンドを送ります。思い切ってかなり多めに送ってしまいましょう。センドから送られて来た音をガッチガッチにコンプします。
2.レシオをガッツリ(12:1とか)まで上げてアタックもかなり早くします。
ギュウギュウの羊羹みたい音を作るのです。
3.送られてきたトラックのフェーダーを上げていきオリジナルのトラックと混ぜましょう。
4.オリジナルトラックとセンドトラック2つのフェーダーのバランスで音を決めます。
大事なことは
最初にオリジナルの音だけで聴感上のボリュームを決めること。
その後2つのフェーダーを動かしながら同じ位の音圧でより音が前にでてくるバランスを探します。
それから最初に一気にセンドで送ってからはセンド量を変えないこと。
送られる先は主にコンプですから入ってくるレベルが変わるとかかり方が変わってしまうので音が定められません。
アタックをオリジナルの音に任せるイメージ
これによって原音にあった強いアタックを維持したままコンプによって圧縮された音の体(つよさ)の部分を加えていくことができます。
EQをつかってコンプ側の低域と高域を少し持ち上げて原音をつつむようにするのもよくやられる方法です。
つまりコンプをかけると弱まってしまう中域のアタックを原音に任せる感じです。
打ち込みドラムの処理でも迫力がイマイチっていうときに、高確率ではまります。
単純に音の情報量が増えるっていう理由もあるのかもしれません。
ここ最近DTM界隈をせっけんしているiZotopeのNeurtonも各エフェクターセクションに何%の音を通すかを選ぶフェーダーがあります。
つまり当然のようにパラレルコンプレッションするという選択肢が示されているのですね。
センドで送ったほうがいい理由
もちろんドラムトラックを複製してオリジナルとコンプをかけたトラックをまぜるという方法でも可能ですがあまりお勧めしません。
実際そうやってみるとわかりますが、ドラムは殆どの場合キックやスネアをミックスしたバストラックですのでそれぞれをコピーしてバスにまとめてってやってると無駄にトラックが増えすぎて管理が面倒になります。
キックやスネアを複数重ねて音作りをしているケースが多いでしょうから、そうなるとなおさら面倒になります。
そして倍の数のドラムトラックを管理するメリットはほとんどありません。
そう考えるとセンドでおくって混ぜる方が合理的です。
ちなみに逆パターンというのもあります。
まずコンプで深めに音をつくってバスでコンプをかける前の時点で別トラックに送って(プリフェーダー)その音を混ぜるというもの。
これは選択ですが、どっちの音を基準として音作りをするかで考えるべきだと思います。
基準となる音に反対の音を足していきつつ音を作ると考えた方がうまくまとまります。
ニューヨークコンプレッションの場合はがっつりコンプをかけた音の芯的なものをオリジナルの音に追加するという考え方でとらえる方(つまり最初に紹介した方法)が個人的にはしっくりきます。