昔、日本の家電店で働いていことがある。
毎日社員同士で売上を争い、その成績が評価、給料へと反映される職場。
今思えば結構楽しかった。
多分店頭販売に携わる人は殆ど気づいているだろうという法則が一つある。
構えてるとと逃げられる。
忙しそうに作業してると呼び止められれる。
一人のお客さんに説明してると別のお客さんが次に接客してもらおうと待ってる。
要するに追えば逃げる。逃げれば追われれる。ということ。
例えばデジカメ売らないといけないとして、展示台の前にたってお客さんを待ってると不思議なほどお客さんは来ない。
ところが、ちょっと展示の配置換えをしようと思って配線やらを繋ぎ変えてるといつの間にか周りがお客さんだらけになっている。
だからいつも忙しく何かをやっているふりをしてたし、その結果僕の成績もそこそこ良かった。
これは2つの理由が考えられる。
1つは顧客は自分に向けられるベクトルを嫌がるということ。
2つめは熱量があるものに群がるということ。
これってフリーランス仕事にも結構当てはまると最近思った。
「音楽制作やってます。御社の作品は、かねてから注目してます。どうぞ何なりとお申し付け下さい。」みたいにメールを送ってもまあ返事は帰ってこない。帰ってきても仕事につながらない。
もっと言うと、プライベートで映像屋さんと出会って、名刺わたして自己紹介しても、まあ仕事はこない。
「あなたからの仕事を待っています。」という僕から相手への強いベクトルが相手を逃げの態勢へ向かわせる。
さらに仕事を待っているという構えの姿勢は静止していて熱量を感じさせることができない。
一方では不思議なことに
今やっている仕事を大げさなくらいでやってると(ミーティングやら外スタジオでの録音やら)、なぜかその途中で別の仕事がくる。
その現場に居合わせた別の人が仕事をもってくる。
偏見あるかもしれないけどアメリカ出身のアーティストやディレクターはこれが体に染み付いていて、プロジェクトの中に無駄な食事会やミーティングが多い。
僕は苦手なのだが、実際そこから仕事を得たし、彼等はもっと活用している。
他にもブログ書きに夢中になっているとアクセスは全然少ないのにブログ経由で仕事が来る!
友達のライブに行って全力で騒いでたら、しばらくはライブしたくないと思ってたのにライブの誘いがくる。お酒を飲んで楽しんでいただけだったのに、そこにいたイベンターがお前にライブを以前見たと言ってブッキングを決めてしまった。
結局仕事を取るのに大事なことってそういうことなんだろうなと思う。
DJやバンドなんかのいわゆるパフォーマンスがメインの人たちを見ていても全く同じことが言える。
曲がいいから、演奏がいいから声がかかるというのはもちろんあるのだが、
曲がいいのに、演奏もいいのにライブが全然取れないアーティストもいる。
常にライブを抱えている人たちは自分たちの忙しさや動いている感じを演出するのがすごくうまい。
今アルバム作ってます。来月のツアーの準備で今大変です。みたいな雰囲気をリアル、メディアとわず出してくる。
逆に新曲やアルバムをつくるたびにスタジオに篭って表からいなくなっちゃうタイプのバンドは多くを注いで作った素晴らしいアルバムをそっとリリースしてしまうのだ。