再びCelemony Melodyneについてです。
以前この記事の中で、声やボーカルサンプルにメロダインを使ってEDMやFutureBassっぽい感じにする方法を書きました。
今日はループ素材や楽器の音に対して使うケースについて。
和音も複雑なリフも読み取れる
Apple LoopやAbeltonでライブラリやサンプルパックからループを合わせて曲をつくるっていう方法は実は最近までほとんどやっていませんでした。
やっていたとしてもパーカションやシェイカーくらい。
音程のある楽器はキーが合ったとしてもすべての音がコード進行に対してきっちり合うわけではないし、逆にきっちりコード進行に沿ったループがいい感じにハマる確立も少なかった。
しかし現在CelemonyのMelodyneによってこの状況は一変しています。
重なってなっている音すら個別に動かすことができるのでコード進行とのバッティングはほぼ確実に修正できます。
CのコードがなっているサンプルをCmにできるんです。
(重なっている音ポリフォニック素材の編集ができるのは上位2バージョン EditorとStudioです。それ以下のバージョンではできません。)
驚くほど自然な音質で移動します。
だから大体いけそうなサンプルを見つけてくればあとは修正できますし、言ってしまえば音色さえマッチしていればあとからどうにかできる。
AudioJungleで販売しているAtagoSoundsの楽曲です。
ギターとオルガンは全くちがう音程とコードだったものをMelodyneで編集しました。
ヒップホップにおける有用性
特にここ数ヶ月で経験したヒップホップラッシュでメロダインはすごく役にたちました。
再燃してるヒップホップというのはとくにBoomBapと言われるタイプのもので、上モノネタをサンプリングしてチョップして張り直すあるいはサンプラーで引き直すという作り方が主流です。
具体的には長めの音ネタを拾ってきて
それを音の変わり目を開始点にしてサンプリングする。
もともとのフレーズは無視して引きなおす。という手順です。
図にするとこんな感じです。
古い映画音楽のオーケストラのトランジションパートをばらばらに切ってサンプラーで弾きなおすというのもよく見られる手法なのですが、これをやるとほぼ確実に半音でぶつかったり、変な音程がまざったりしてしまいます。
だから今まではこのタイプのサンプリング手法はネタ合わせが難しかったし、単純にネタとしての条件がなかなか揃わなかったんです。
以下はそうやって弾き直したフレーズをMelodyneで解析したものです。
詳しい解説はしませんが、コード進行の中であってはいけない音が入ってしまう。
しかし和音の中の任意の音だけかえられる(あるいは消せる)ので音楽的に破綻させずにネタ弾きしたフレーズを使えます。
これってつまり使えるネタが圧倒的に増えたことになります。
この手法で作ったAudioStockで販売している曲です。
実はBoonBapの再燃というのは実のところはMelodyne4のポリフォニック編集の登場によってインスパイアされたクリエイーターが同時多発的に引き起こした流れなのではっていう飛躍すらしてしまいます。