ライブの前緊張するときありますよね。
以前の記事の中でロボットになりきって背中にある感情のスイッチをオフにするのを想像することで緊張から抜け出すという方法を書きました。
正直僕の場合、ほとんどこれで切り抜けられるのですが、
それでも例えば遠征のときとか、アカデミック系でお客さんが座りのとき(つまりアウェイのとき)なんかに手が震えるほど緊張することがあります。
今までの経験でかなり有効だと気づいた、今でも緊張がひどいときはやってる解決策があります。
ずばり言うと
「しゃべりから入る。」
これは僕の場合なんですけど、重要なことはライブよりも苦手なことから入るということです。
僕、人前で話すのがかなり苦手なんです。
慣れてる人なら大丈夫なんですが、知らない人だとパン屋のおじさんとかと話すのも緊張するくらい。
ヨーロッパは日本に比べて知らない人同士がすぐに会話をするので疲れます。「兄ちゃんどっから来たん?チャイナ?ベトナム?」みたいな。
そういう僕ですからお客さんの前で話すのはなるべく避けたい。
演奏を終えたらササっとステージからさりたいのです。
つまりしゃべるということが精神的に与える負荷が演奏より大きい。
なのでまず演奏する前に喋ります。
当然ガチガチで喋ります。
そうするとお客さんは「こいつガチガチだな。大丈夫か?」という感じになることが多いですが。
しかしほぼ確実に僕の緊張はなくなってるし、もう指は震えてないです。
話す緊張のほうが演奏の緊張よりも大きい(あるいは同等に緊張する)ので脳が比較して演奏に対する緊張をといてしまっている状態です。
デスクトップミュージックのライブでいきなりしゃべりから入る人なんて日本でもドイツでもほとんどいませんからいい意味でお客さんの度肝を抜けるというメリットもあります。(生前のレイ・ハラカミさんは喋りから入ったのを見たことがあります。)
この方法に気づいたのは、演奏前にカメラを回したインタビュー(といってもインターネット番組です)があるイベントに出たとき。
「ただでさえライブ前で緊張してるときに話す余裕なんてあるわけないやろ!」と思ってましたが、インタビューが終わったら後の演奏は自由自在でした。
当然それがしゃべりである必要はありません。
ナンパしてから演奏するでもいいし、好きな子に告白してから演奏するでもいいです。
それが演奏より緊張することであれば。
昔働いてた職場のお姉さんから聞いた話ですが
数バンドが対バンするライブハウスのイベントで前のバンドが終わって片付けてる時に客席から一人の男が現れて「次のバンド、相当ヤバイからみんな楽しみにしてて」とマイクで言い放って客席に戻り、次のバンドがセッティングを終えて演奏がはじまると、さっきの男が現れて歌い出すというパフォーマンスで会場を沸かせた人がいて、それが後のユースケサンタマリアさんだったそうです。
もちろん、彼にとってはそのくらいのパフォーマンスは余裕でやれたという想像もできますが、この手のパフォーマンスはウケないという危険性もありますし、職場のお姉さんがライブハウスに通っていたと思われた時代から推定すると1990年位の出来事だと予想できるので逆算してサンタマリアさんは20歳前後です。
プロのエンターテイナーの世界はわかりませんが20前後でこういうパフォーマンスを精神的負荷になしにやるのは難しいのではないかと。
僕には、彼は前もって自分に負荷をかける手段をとったのではないかという気がします。