ミックス前、つまりDTMで言うと作曲やアレンジをしている段階でつねに気をつけていることを書きます。
ミックスに入る前に以下のことが全てなされているかどうかをチェックすることでミックス時に無駄な時間を使わなくてよくなります。
目次
2.☑採譜した上で納得しているか?
3.☑MIDIデータはこれ以上追い込まなくていいか?
4.☑完全ループしていないか?あるいはしているトラックの把握
5.☑オーディオ波形の切れ目を処理しているか?
6.☑シーケンサー画面を整理しているか?
1.キックを-10dbで組んでいるか?
これはミックスの段階での話だと思われるかもしれませんが、常に曲を作り始めるときにキック(バスドラム)を-10dbでならすようにしています。
なぜ-10dbかというと、バスドラムの音量が-10dbであれば全パートを打ち込んでトータルでほぼクリップしないからです。
この段階でキックが大きいと当然それに合わせて他の音も大きいボリュームで打ち込んでしまうことになります。
そうするとミックスの段階になってクリップしないように全体のボリュームを下げたときに、音源やプラグインによっては、かなり音の印象が変わってしまいます。
さらに既にバスに音を分けてしまった場合やセンドで送っている場合、正確にバランスを保ったままフェーダーを下げるのはかなり難しいです。
トラックフェーダーに対して突っ込みすぎてサチュレーションを起こしている音自体をいい音だと判断してしまっているケースもでてきます。
かと言ってクリップしたまま送ってマスターで落とすというのはノイズの原因になります。
以下の記事は翻訳記事ですがマスターに8db空ける必要性があることと、それに伴う問題点を書いています。
iZotope動画 10 Tips for Creating Better MixesのまとめPart3
2.採譜した上で納得してるか?
人によっては(あるいはDAWによっては)譜面じゃなくてピアノロールで考える人もいると思いますが、僕の場合は常に紙に譜面に書き出すようにしています。
いずれにしても鳴っている音を理屈の上で理解しているかという点は大事だと思います。
あくまで理解しているかであって、理論が通っている必要はないと思っています。
例えばアボイドノートを踏む必要があるときはやはりあります。
ただ無意識にアボイドを踏むのではなくコードをsus4にしたりしてアボイド回避したほうが当然良くなる可能性は高いですし、あえてそれをやらないことで音に濁りを付けたほうがいいと判断することもあります。
仮にそのままアボイドを踏んだとしても大事なことは、一般的な理論ではまちがった上でそのパートが作られているということを自分で認識しているかどうかということです。
特に慣れないうちは、なぜかミックスがうまくいかないと思って試行錯誤していたら、理由は単純に音がぶつかって濁っていたからだったっていうことがままあります。
すぐに譜面が読めるようになりコードの構成音も同時に分かるようになる方法
3.MIDIデータはこれ以上追い込まなくていいか?
MIDIの打ち込みに関して、ベロシティー、タイミングおよびヒューマナイズ(ランダマイズ)において、それ以上つめ用のないところまで詰めているかを確認します。
全部同じベロシティー、きっちりクオンタイズされたベタの打ち込みの良さもないことはないです。
ただ、映像と同期するプロジェクトの場合は特にそうなんですが、後から映像と合わせたときに初めて、かっちりしすぎたMIDIデータの違和感に気づくことが多いです。
とくに実写映像のときに顕著で、音楽だけ聴くとそんなに違和感はないんですが、実写という限りなくオーガニックな映像素材とのコントラストでベタのMIDI打ち込みが目立ってしまうみたいです。
なので特に映像用の音楽のときはそれを見越してMIDIは出来る限りリアルに、ちょっとわざとらしいくらいに揺らして打ち込むようにしています。
4.完全ループしていないか?あるいはしているトラックの把握
上記と同じ理由でループ素材を使った際に完全なループをしてしまわないようにしています。
展開に合わせてループの半分を繰り返したり、部分的にミュートして同じフレーズがループするのを防ぎます。
仮にどうしてもループを防げない場合はこの時点で把握しておいて、ミックスのときにボリュームやセンド量にオートメーションを書くなどして変化をつけるようにします。
5.オーディオ波形の切れ目を処理しているか?
オーディオデータの波形の切れ目にはほとんどの場合フェードカーブを入れるようにしています。
仮に今は耳でノイズが聞えなくても、プラグインをかけた場合や、再生環境が変わった場合、(再生環境が悪くなった場合にも)ノイズが見えるようになってしまうことがあります。
ミックスのときに気づければいいですが、自分の手を離れたあとに自分以外の人に気づかれてしまうような事態につながりかねません。
6.シーケンサー画面を整理しているか?
一見してどこに何があるか分かるようにトラックを並べているかです。
人によって並べ方は様々だと思います。
僕はドラム ベース ギター類 キーボード類 ストリングス 金管 木管 ボーカル その他の順でならべます。
要はいつも同じ順番でならべることによってどこに何があるかを把握するためのスピードをあげることができます。
このスピードと操作性がほんの少し良くなるだけでアレンジの際のスピード、後からのミックスのスピードは格段に早くなります。
ちなみに種類ごとに色分けをする人も多いみたいでが僕はしないです。
きちんと並べていればどこに何があるかはすぐに分かるので色のバリエーションは同一トラックの中で、注意を要するところとか、迷っているところとか、パターンが大きく変わるところなどを可視化するために使っています。
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これらのチェックは作曲、アレンジの段階において常に心に留めておくようにしています。
インスピレーションがわきまくって楽しく作れているときはとくに忘れがちになります。
逆に調子が乗ってこなくて何から手を付けていいか分からないような時にトラックの整理等を行うことで、次第に気分が乗ってきたりアイデアが浮かんだりします。