僕は映像やCMの音楽に関しては無料では受けません。
自分名義でやってる音楽が自分の音楽だと思いこんでやってきたから、その他の(映像やゲームや広告の)音楽はお金を稼ぐためにやっているので。
ただ無料や格安で受ける人に関しても全く問題を感じません。
むしろアリだと思います。
ネットでは相場を下げるクリエーターを避難する傾向って強いですよね。
「無料、格安で学生や兼業のクリエーターが仕事を受けるから相場が下がってしまって本業のクリエーターが食べていけなくなる。」っていう意見。
しかし格安の提案が増える理由は新規参入者のマナー違反や認識不足が原因なのではなくて、単純にクリエーターが多いからです。
沢山の人が音楽を作ったり絵や文章を書いている。
だからそれで仕事を取ろうとする人も増えて価格競争が起こる。
結果値段が安くなる。
つまり需要と供給のバランスがそのポイントで均衡しているということ。
中学校でならった基本的な市場原理です。
その市場原理に逆らって値段を高く維持しようとする行為がカルテル(談合)です。
「利益を維持するためにこの値段より高くで売りましょう。」と販売者同士で協定を結ぶこと。
これは規模の大きな企業間競争においては悪とされます。
しかし規模の小さい企業間競争(例えば商店街の八百屋間でのニンジンの値段とか)では必要悪とみなされます。
この悪と必要悪の境界がどこにあるかというと、結果的に買う人売る人もトータルで見て得する人が多いか否かです。
では、音楽制作の金額を下げる人がいてそれを悪とするか必要悪とするか。
前述したように現状では悪とする傾向が強い。
今まで、規模が小さかった音楽制作という市場において、カルテルは必要悪だったわけです。
現在の音楽制作の規模と制作物やサービスの質を鑑みた人の意見として、ある程度正しいかもしれません。
ただものづくりをする人間として考えないといけないことは、この市場は今後もっと大きくなっていくということ。
若い競争相手は増え、制作で食べて行けるようになった人は基本的に死ぬまで作り続けようと努力します。
そうすると市場規模は大きくなるので次第に談合(カルテル)は悪だとみなされるようになっていきます。
そうなったときに自分を助けるものは、価格競争を防ぐために起こした行動ではなくて価格競争力をあげるために培った技術だと思います。
__
ってここまで偉そうに書いて気づきましたが、新規参入者ってまさに自分のことだし、受けてる金額も長年音楽業界を支えて来た人達と比べたら破格と言わざるをえない。
言い訳記事だったかもです。